あがり症と睡眠の関係は神経伝達物質にあります。
神経伝達物質にはノルアドレナリンやアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどいくつかの種類があります。
そのうちノルアドレナリン等が興奮を伝える役目を担っているのに対し、心を落ち着かせる役目を担っているのがセロトニンです。
セロトニンは充分な睡眠をとることで分泌され、精神状態が不安定にならないようコントロールされるのですが、睡眠不足だとセロトニンが減少しストレスを感じ易くなるなど精神が不安定になります。
そのため、あがり症の症状が起こり易いばかりか、うつ病にもなり易くなってしまうのです。
また、セロトニンが少ないと興奮・緊張状態がなかなか収まらず、寝つきが悪くなったり眠りが浅いといった睡眠障害をも引き起こします。
こうして充分な睡眠をとれないことで悪循環が生じるのです。
睡眠不足だとセロトニンが分泌されないばかりか、逆にノルアドレナリンを大量に分泌させることになります。
ノルアドレナリンは別名「戦闘ホルモン」とも呼ばれており、危険を察知できるよう緊張状態を高めるためのものです。
あがり症は、まさに自分にとっての危険に備えて各種症状が起こっているだと言えるでしょう。
あがり症がノルアドレナリンによって起こっているのなら、それを抑制してセロトニンの分泌を増やさなくてはならず、そのためには充分な睡眠をとる必要があります。
充分な睡眠とは、質の良い睡眠とも言い換えられます。
睡眠時間はもちろんですが、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)を規則的に繰り返さなくてはなりません。
質の良い眠りの基本は、規則正しい生活リズムとリラックスです。
生活リズムとはもちろん就寝時間や起床時間のこと(食事時間も含みます)
特に起床時間は重要です。
充分な睡眠を逆手にとって、まだ眠いからと休日の朝いつまでも眠っているのは論外。
毎日ほぼ同じ時間に起きて朝日を浴びることで体内時計がリセットされるため、休日であっても平日との差が1時間を超えない時間に起きるようにしましょう。
リラックスは睡眠前に必要なことです。
就寝直前までテレビを観たり本を読んだりしていると脳の興奮がなかなか静まらず、なかなか寝付けなくなってしまいます。
これは、寝る間際に考え事を繰り返すことと同じです。
就寝前のリラックスに効果的なのは入浴。
入浴時には副交感神経が活発になるため、そのリラックス状態のまま就寝するのが理想的です。
ただし、お湯が熱いと逆効果になるため、ぬるめのお湯に浸かるようにしましょう。
こういった充分かつ質の良い睡眠が回り回ってあがり症対策に必要となるわけですが、実際のところ睡眠時間の確保さえ難しいという人は珍しくありません。
充分な睡眠時間というのは人によって異なるもので、他人の生活リズムが自分に適しているとは限らないのです。
夜充分に睡眠できないのであれば、昼に仮眠することをお勧めします。
昼、特に昼食後であると眠くなることが多々ありますが、これは満腹によって起こる眠気でごく自然な生理現象です。
眠気を感じたなら、5分や10分といった短時間で構いませんので睡眠を補うようにしましょう。
ただし、眠気に任せて長時間昼寝してしまうと逆に夜眠れなくなってしまうので、長くても20分程度に留めておくように。
夜の就寝前のコーヒーは厳禁ですが、昼寝前なら一杯飲んでおけばカフェインの効果で昼寝が長くなりすぎることもありません。