視線恐怖症

視線恐怖症はあがり症に最も多いタイプです。
他人から向けられる視線が気になってしまう症状であり、自己視線恐怖症と区別するために「他者視線恐怖症」とも呼ばれています。

視線恐怖症が起こる状況として典型的なのが、発表の舞台といった大勢の前に出た際です。
いくつもの視線が自分に集中的に注がれることで緊張するというのは、あがり症の人でなくても誰でも経験のあることでしょう。

もちろん、注がれる視線の量がそれほど多くはない一対一の会話であっても視線恐怖症は起こります。
他人の視線というだけなら、人数は関係なく無性に気になってしまうものです。

大勢の前での発表や他人との会話といった場においては、自分がしていること(話し方や仕草など)が他人から見て変ではないかといった恐怖感を引き起こします。
しかし、自分が特別なことをしていなくても他人の視線が気になる場合もあり、この点が視線恐怖症で注目しておきたい点です。

例えば、街中を歩いているときでも擦れ違う人からの視線が気になります。
ただ歩いているだけですが、自分の服装や髪形、表情などが変に思われているのではないかと気になってしまうのです。
つまり、自分の見た目に関わってくるということ。

そのため、何らかのコンプレックスを持っている場合、この視線恐怖症は更に強くなります。
年齢にすると、オシャレに気を遣うようになる中高校生の頃から視線恐怖症が発症し易いようです。
他人と同じでなくては恥ずかしいという意識から流行などに敏感になるのは日本人の特徴ですが、視線恐怖症の場合、特にオシャレや流行に興味はなくても自分の恰好が気になってしまうのです。
その結果、興味はないけれど流行を追ってみたり、または帽子を目深に被って顔を隠したりといった方法をとってしまいます。

視線恐怖症だと、他人の目がある中で下手なことはできないという意識から、動きがぎこちなくなるといった症状が出ます。
また、視線が気になるあまり上の空になり、本来すべき行動を忘れがちになるといったことも多くあります。

視線恐怖症の人が抱いている恐怖心は、そのほとんどが劣等感です。
容姿が良いために見られているのだろうと思うのであれば、他人からの視線にむしろ優越感を抱くところですが、良いことで見られて視線恐怖症になるという例はあまりありません。
視線恐怖症と優越感は真逆に位置するものと考えられます。

視線恐怖症の症状が深刻になると、他人がいる場所を避けたり、そのようなところへ行こうともしなくなる可能性があります。
ですが、劣等感とはあくまでも自分自身が抱いているだけの感情であり、実際のところ自分が思うほど他人はその人の見た目などを気にしていません。
視線恐怖症そのものが、過剰な自意識によるあがり症なのです。