あがり症の仕組みと症状

あがり症は肉体的に問題が発生している病気ではありませんが、れっきとした精神疾患のひとつです。
ですが、体内機能に変化がないわけではありません。

人が緊張や恐怖を感じたとき、脳内ではノルアドレナリンという化学物質が分泌されています。
ノルアドレナリンは緊張を感じているときだけではなく、覚醒時や怒りを感じているときにも分泌されます。
共通点として興奮が挙げられますが、よくよく考えてみると、あがり症の症状は興奮に見られる症状とよく似ていることが分かりますね。

ノルアドレナリンは神経伝達物質で、これが感じている緊張や恐怖を自律神経にまで伝達します。
自律神経とは呼吸や体温調節、代謝といった機能を制御している神経系で、我々自身が意識的に調整できるものではありません。

自律神経には、興奮を司る交感神経と、リラックスを司る副交感神経があります(副交感神経に対し、交感神経を「主交感神経」と呼ぶこともあります)
通常であれば活発化を交互に繰り返してバランスが保たれている両神経系ですが、ノルアドレナリンによって緊張が伝えられると交感神経がより活発になります。

緊張すると鼓動が早くなったり手に汗をかくことがありますが、これは交感神経が活発化しているために起こる症状です。
この活発化があまりに高まると、肉体調整機能にまで影響が及んでバランスが崩れてしまいます。
その結果見られる症状が手足の震えなど。
これが、あがり症の症状です。

あがり症の症状を具体的に表現すると、以下の症例が見られます。

  • 喉が詰まったようになり声を出しづらくなる。
  • 声が震えたり、舌が回らなくなる。
  • 声が擦れたり、トーンが変化する(声が上擦る)
  • 早口になったり、思ってもいないことを口にする。
  • 喉が渇き、唾液がなかなか飲み込めなくなる。
  • 頭が真っ白になり考えがまとまらなくなる、または全て忘れてしまう。
  • 手が震えたり、膝が笑う。
  • 顔が真っ赤になる、または真っ青になる。
  • 体中、またはごく一部に大量の冷や汗をかく。
  • 目が潤んだり、涙が出てくる。
  • 吐き気がする。
  • 身体が強張ったり、つい手足に力が入る。
  • 片側の手足を同時に出して歩いてしまう。
  • しきりに髪や体の一部を触る。

まるで漫画やコメディの一場面のような症状もあるように思われますが、笑いごとではありません。
実際にあがり症の人たちはこういった症状に悩み続けているのです。

もちろんですが、あがり症の人全員にこれら全ての症状が起こるというわけではなく、どの症状が起こるかは人によってそれぞれです。

また、上記の症状うち一つでも当て嵌まればあがり症というわけでもありません。
ただの緊張と考えることができます。
ただし、多くの症状に心当たりがあるなど当て嵌まるものが多いように感じるのであれば、あがり症の可能性が有ると言えるでしょう。

あがり症は過度な恐怖心によるものですが、恐怖心と一口に言っても誰もが同じ恐怖を感じているわけではありません。
あがり症となる原因も相まって、どういったことに恐怖を感じるかは人それぞれ。
よって恐怖心は多種多様だと考えられます。

当然、恐怖心が異なればあがり症の症状も異なります。
あがり症にはいくつかのタイプが考えられており、どのタイプのあがり症なのかは症状から判断することが可能です。
自分がどのタイプか判れば、克服の仕方や対処法を見つけ出しやすくなります。

緊張している最中は集中力が分散されているため症状を考えるどころではありませんが、後ほどで構いませんので、あのとき自分にどのような症状が起こっていたのか思い出してみましょう。
緊張していると自覚があるときだけでなく、恐怖や焦りを感じたとき、ドキドキしていると感じたとき、苦手だと思う状況に立たされたときなども手掛かりになります。