あがり症とトラウマ

あがり症は、過去のトラウマによって悩みを抱えるほどのあがり症になるパターンが多々あります。
あがり症そのものがトラウマとなって、更にあがり症が重症になるという悪循環が生じる場合もあります。

トラウマは意識的に感じるものではありません。
嫌な経験はなかなか忘れないとは言いますが、嫌なことだからこそ普段は潜在意識に潜み、無意識のうちに思い出さないようにしているのです。

しかし、トラウマと似通った状況に立たされると記憶以上に恐怖心が甦り、あがり症となって体が顕著に反応します。
例えば、過去、朗読でどもったことを笑われたというトラウマがあるなら、以来人前で発言する際には吃音恐怖症が起こるかもしれません。
また、過去、異性と話しているときに顔が赤くなったことを指摘されたというトラウマがあるなら、以来誰と話す場合でも赤面恐怖症が起こるかもしれません。

あがり症は「あがってはいけない」という強迫観念から起こる精神疾患です。
そのため、あがったことで辛い思いをした明確なトラウマがあると、なかなか克服できない辛いものとなってしまいます。

あがり症の原因の一つに過去のトラウマがあるなら、効果的な克服方法はカウンセラーに相談してトラウマを打ち明けることです。
なるべくなら思い出したくない記憶でも、根本的な原因を突き止めたうえでその精算に踏み切らなくては、克服の糸口が見つかりません。

こういったあがり症の悩みは、あがらない人に相談したとしてもなかなか理解されない辛さがあります。
トラウマを打ち明けたとしても、せいぜいが「気にしなければいい」と言われる程度。
気にしたくなくても気になるのがトラウマですし、気にしないよう努力すればするほど症状が現れてしまうのがあがり症です。

また、あがらない方法を訊ねてみても、経験を積むといった回答を得るだけでしょう。
相談を持ちかけた人が新人で経験不足であるなら、確かにその回答は適切と言えます。

しかし、あがり症の人だとそうもいきません。
あがり症の場合、経験を重ねて増えるのは慣れではなく、あがった回数と苦手意識です。
根本的解決策がないまま経験を積もうとすると、それこそ症状悪化の一途を辿ることとなるでしょう。

特に、それが上司など目上の人から言われたのであれば、重いプレッシャーを抱えて胃潰瘍といった病気になってしまう可能性もあります。

あがり症の人に対しては、周囲の人も気をつけなくてはなりません。
と言ってもどうアドバイスすれば良いかということではなく、あがり症の人にその症状が出ていても指摘しないということです。

他人が指摘しなくても、あがり症の症状は本人がしっかりと自覚しています。
だというのに、わざわざ指摘されると“ありがた迷惑”以外の何物でもなく、さらに症状が悪化しています。
他人からの指摘こそがトラウマの元だと考えましょう。

あがり症の人にとって、周囲の人にとってほしい反応の最たるものは“気付いていないフリ”。
言葉に詰まったときなどは耳打ちするなり先を促してあげれば手助けになりますが、顔の赤さや活舌の悪さを指摘するだけなのは無責任になります。